シアンは天然の青酸を含む有害物質で、工業の工程や化学反応などにも使用されています。
少量でも摂取すると人体に悪影響を及ぼす非常に危険な物質なので、取り扱いには注意が必要です。
こちらのコラムでは、シアン化合物の危険性と処理する際の注意点について解説いたします。
目次
シアン化合物とは?
シアン化合物とは、シアン化物、青酸化合物、青酸塩とも呼ばれます。
シアン化物イオン(CN)を陰イオンとして持つ塩のことで、炭素と窒素を化合した天然の青酸を含む有害物質の総称です。
代表的なものに、シアン化カリウム(青酸カリ)、シアン化ナトリウム(青酸ソーダ)などがあり非常に危険な劇薬です。
工業プロセスや化学反応、金属の精錬や抽出、メッキ、農薬の原料など幅広く使用されています。
シアン化合物は水に溶けやすい性質があるので、排水や排ガスと共に環境中へ放出されないよう法令で厳しく規制されています。
毒性と影響
シアン化合物は、結合する物質によってその種類は様々です。
例えば、金属を中心にシアン化物イオンが結合した物質。
シアン化物イオンと金属の配合量が対になり結合した物質。有機化合物の中にシアノ基を含んだ物質、などです。
結合している物質やその量によって毒性の強さも異なりますが、これらの化合物はいずれも非常に強い毒性があります。
体内に吸収されると、頭痛、めまい、意識障害、麻痺などの中毒症状があらわれ、短時間で死に至る可能性がある非常に危険な物質です。
廃棄処理の方法は?
非常に高い毒性を持つシアン化合物は、『特定有害産業廃棄物』に指定されています。
特定有害産業廃棄物は『特定管理産業廃棄物』の一種で、爆発性や毒性、感染性が高く、中でも貴金属やPCB、ダイオキシンなど特に有害性の高い物質です。
数多くの種類がある産業廃棄物の中でも、最も危険で処理が難しい廃棄物です。
廃棄処理の際は、特別管理産業廃棄物の取扱い許可を取った、収集運搬・処理の専門業者に委託します。
工業利用で扱う際も、水道法・水質汚濁防止法・土壌汚染対策法などの各法令で厳重に規制、管理されています。
シアン化合物は、日常で身近にあるものではありませんが、工業用としてはよく使用されています。
取扱いを一歩間違えれば、命の危険がある劇薬です。
シアン化合物の分解方法などの新たな技術も進歩していますので、適切な処理方法や業者選びなど、ぜひご相談ください。