人体に有害な影響を及ぼすPCB(ポリ塩化ビフェニル)は現在、製造も使用も禁止されており、残存しているPCB廃棄物は処理期限が設けられています。
万が一、期限内に処理できなかったり、期限後に発見されてしまった場合はどうなるのでしょうか?
こちらのコラムでは、PCB廃棄物の廃棄期限と準備しておくべきことについて解説いたします。
目次
PCB廃棄物とは?
PCBはポリ塩化ビフェニルのことで、人工的に作られた化学物質です。
無色透明の油状で、熱分解しにくく絶縁性が高い、水に溶けにくい、不燃性が高いなどの特徴から、コンデンサーやトランス、蛍光灯など電気機器の絶縁油や熱媒体として多く使用されていました。
しかし、人体への有害性が認められ、1972年には製造・使用・輸入が禁止されています。
PCB廃棄物には、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物があり、成分の含有量により分けられています。
いずれも毒性があるので、特別管理産業廃棄物の一つに分類されます。
PCBの処理期限
高濃度PCB廃棄物の処理ができるのは、全国5ヶ所にある「中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)」のみです。
全てのエリアで2016年7月までに処理完了予定でしたが、2023年3月末まで延長され、現在JESCOでの処理期限は終了しています。
低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年3月31日までと全国統一されています。
処理は「無害化処理認定事業者」「特別管理産業廃棄物の処分業許可」を得た民間業者が行います。
現在PCB廃棄物を保管している事業者は処分までの間、特別管理産業廃棄物の保管基準に従って適正に保管をしなければなりません。
処理期限に間に合わなかった場合は?
高濃度PCB廃棄物はJESCOでの処理期限は終了していますが、期限を過ぎても稼働が終了したわけではありません。
変圧器やコンデンサなど大型機器は期限から3年間、汚染物や安定器などは2年間の終了準備期間があります。
とはいえ、準備期間であれば大丈夫ということではありません。
環境大臣と都道府県知事は、処理完了を求める改善命令の権限を持っています。
その命令に従わず期限までに廃棄処理の委託をしなかった場合、事業者は罰金・懲役などの刑事罰を受ける可能性があります。
JESCOが事業を終了してしまうと処分ができなくなり、危険物の厳重保管責任を追い続けることになります。
PCB廃棄物の処理期限は迫ってきています。
保管しているPCBが高濃度か低濃度か不明、PCBを使用した機器等が未確認で不安、収集運搬・処理の許可を得た業者選定の仕方がわからないなど、お困りの際はぜひご相談ください。