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企業がやりがちなリスクと回避策
産業廃棄物処理は、担当者のスキルや経験に大きく依存しがちです。
しかし、廃棄物処理は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)という強制力の強い法令で管理されており、違反すれば企業にも担当者にも深刻な影響が及びます。
この記事では、実際に行政処分・罰則につながった事例をもとに、企業が陥りやすいミスとその回避策を解説します。
■ 事例①:委託契約書の未締結による行政処分
【よくあるリスク】
・「毎年更新が必要」と知らずに契約期限切れのまま排出してしまう
・担当者の退職により、後任者へ契約書の管理が引き継がれていなかった
【罰則の傾向】
・行政指導、改善命令
・悪質と判断されれば企業名公表
【回避策】
- 契約書の期限管理をデータ化して一覧化
- 担当者変更時の「必須引継ぎ項目」に委託契約を組み込む
- 処理業者との契約更新を年次業務に固定化
■ 事例②:マニフェスト未交付・未管理での罰則
【よくあるリスク】
・現場判断で「急ぎだから」とマニフェストなしで搬出
・回収した処理業者からの返送票をチェックしていない
・電子マニフェストに移行しておらず多拠点で管理不能
【罰則の傾向】
・罰金
・改善命令
・悪質または継続の場合は刑事罰の対象に
【回避策】
- 電子マニフェスト(JWNET)へ全面移行
- 排出現場での「搬出前チェックリスト」を義務化
- 月次で処理完了状況を自動集計する仕組みを導入
■ 事例③:廃棄物区分の誤判断(一般廃棄物扱い)
【よくあるリスク】
・「少量だから」「家庭ゴミみたいだから」と誤って一般廃棄物扱い
・営業所・店舗の現場による産業廃棄物の区分知識が不足
・新製品の製造により廃棄物の性状が変化しても届出をしない
【罰則の傾向】
・違法投棄扱いで刑事罰
・都道府県からの厳しい指導
・企業ブランド毀損
【回避策】
- 全従業員向けに「廃棄物区分の基本マニュアル」を配布
- 新規廃棄物が出たら事前に性状分析を実施
- 廃棄物担当者が定期的に現場巡回し、誤った排出を発見
■ 事例④:委託先処理業者の無許可(または許可切れ)
【よくあるリスク】
・処理業者の許可更新日を確認していない
・複数拠点から委託しており、どの許可でどこをカバーしているか不明
・「長年付き合っているから大丈夫」という思い込み
【罰則の傾向】
・排出事業者責任により企業側が罰金
・行政指導 → 業務停止リスク
・CSR・ESG観点での信用失墜
【回避策】
- 処理業者の許可証を毎年確認し、社内で管理
- 委託先の現地確認(実地確認)を年に1回実施
- 定期的に許可の有効期限を確認する仕組み
■ まとめ:違反の多くは“仕組み不足”が原因
廃掃法違反は、悪意よりも主に管理体制の不備・担当者の「知らなかった」という理由から発生します。
つまり、ルールと仕組みを整えるだけで、ほとんどのリスクは回避できます。
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