産業廃棄物の中には、同じ品目の廃棄物でもその特性によって処理方法が異なることがあります。
特殊な処理方法であったり、許可のある業者でも受入れを断られる場合もあります。
当然、そういった特殊な廃棄物を受け入れできる処分場は全体的にも限られてきます。
例えば、当社でも稀にご相談いただくアンチモンと呼ばれる廃棄物があります。
今回アンチモンとはどのような廃棄物なのかを詳しく解説していきます。
目次
具体的にどんな廃棄物なのか
元々は元素記号でSbと表記される元素で、銀白色のもろい金属です。
一般的にアンチモン単体で使用されていることはほぼありません。
主にプラスチックや車のシートカバー等の難燃剤や鉛バッテリーの電極、合金素材など
様々な原料として使われています。
含まれている量は少ないですが、メッキのりもよいといった特性があります。
例えば、小皿、優勝トロフィー、メダルなどにも利用されています。
有害物が含まれているのか
化学形態によっても異なりますが、
化合物に刺激性のある劇物が多く、人体に有害の疑いがあるとされています。
物によっては皮膚に触れた場合に皮膚の乾燥、吸入した場合に腹痛や下痢、嘔吐などがあります。
また、火災によって毒性のガスが発生する恐れもあります。
そんな疑いの中、代替品の開発が進められており、徐々に使用頻度が減少してきています。
産業廃棄物としての分類は?
産業廃棄物の種類では、特別管理産業廃棄物には該当しません。
よって、一般的な産業廃棄物として扱われています。
その理由として、
合金物としてのアンチモンは、鉛80~90%、アンチモン10~20%混ぜたものが多いです。
アンチモンの使用量が非常に少ないので、鉛として処分されているのが殆どです。
今後の動向は?
現在では産業廃棄物処理において、特別な規則は設けられていません。
産業廃棄物の許可品目・処分許可があれば法律上は問題ありません。
過去に日本では環境基準の監視項目に指針値(0.002mg/l以下)が指定されておりました。
しかし、 毒性評価が不確定であることから、1999年2月22日に指針値が削除されています。
今後さらに研究が進み、更に有害性が確認されれば特別な処理方法が必要かもしれません。
まとめ
アンチモンは単体で使用されておらず、多くは難燃剤や鉛バッテリー、合金素材に使われています。
有害性があり、飲み込んだり直接触れたりした場合、人体に悪影響がでる可能性があります。
産業廃棄物の分類は、一般的な産業廃棄物として処理することになります。
今のところ、アンチモンに対して特別な処理方法はありません。
しかし、今後さらに有害性が認められた場合、管理や処分が厳しくなる可能性があります。
廃棄物についてお困り事がありましたらなんでもご相談ください。