「廃棄物処理費が年々上がっているが、もう削減の余地はない」
そう感じている排出事業者は少なくありません。
しかし実際には、現場の運用を少し見直すだけで、すぐに効果が出るコストダウン策が数多く存在します。
本コラムでは、設備投資や大きな業務改革を行わず、現場レベルで“今日から着手できる”廃棄物コスト削減のポイントを解説します。
目次
① 分別精度の見直し ― 「混ぜない」だけで単価は下がる
最も基本でありながら、最も効果が出やすいのが分別の徹底です。
現場では
- 廃プラ+金属の混合
- 汚れたプラときれいなプラの混在
- 廃油に水分や異物が混入
といった状態がよく見られます。これらは処理困難物扱いとなり、
- 手選別費
- 前処理費
- 焼却費の上乗せ
につながります。
「混ぜない」「分ける」だけで処理単価が数円~数十円/kg下がるケースも珍しくありません。
② 容器・荷姿の改善 ― 同じ廃棄物でも“出し方”で費用が変わる
廃棄物の内容だけでなく、容器・荷姿も処理費に大きく影響します。
例:
- ドラム缶 → 洗浄可否で有価・無価が分かれる
- 一斗缶 → 残液の有無で処理区分が変わる
特に残液・付着物の有無は重要です。
容器内を空にする、簡易的に拭き取るだけでも
「処理費 → 有価買取」へ変わる可能性があります。
③ 排出量・頻度の最適化 ― 「出しすぎ」がコストを生む
意外と見落とされがちなのが、回収頻度と排出量のバランスです。
- 少量でも頻繁に回収 → 運搬費が割高
- 満載にならない状態での回収 → 実質コスト増
現場では「置き場がない」「とりあえず出す」という判断が多く、
結果として運搬費が無駄に膨らんでいるケースがあります。
- 回収頻度を週1 → 月2回へ
- コンテナ容量を見直す
これだけで年間数十万円の削減につながることもあります。
④ 契約内容の“思い込み”を疑う ― 実態と合っていますか?
「昔からこの契約だから」「毎年自動更新している」
そんな処理委託契約が、今の現場実態とズレていることは珍しくありません。
チェックすべきポイントは
- 実際の廃棄物性状と契約品目が一致しているか
- 不要な処理工程(中和・脱水など)が含まれていないか
- 市況変化を反映した単価になっているか
契約書を見直すだけで単価が下がるケースもあります。
⑤ 「廃棄前提」からの脱却 ― 有価物化の入口は現場にある
コストダウンの本質は、処理費を下げることだけではありません。
- 廃プラスチックの材質別分別
- 廃油の含水率管理
- 廃液の成分把握
これらを行うことで、
「廃棄物 → 有価物」へ転換できる可能性が生まれます。
特に最近は、再資源化ニーズの高まりにより、
現場管理次第で“売れる廃棄物”が増えている状況です。
コストダウンは「現場の気づき」から始まる
廃棄物コスト削減は、特別な設備や大きな投資がなくても、
現場の運用・管理方法を少し変えるだけで実現できるケースが多くあります。
一方で、
- 分別ルールが定着しない
- 契約内容が複雑で判断できない
- 有価物化できるか分からない
といった課題を抱える企業も少なくありません。
もし現場運用や廃棄物管理に課題やお悩みがあれば、
弊社の廃棄物コンサルティングサービスにて、貴社の実態に合わせた改善支援が可能です。
お気軽にお問い合わせください。


