自動車の不凍液などに多く含まれているエチレングリコール。
廃車として処分されるに伴って全国で大量に排出される化学物質です。
かつてよく使用されていたグリセリンよりも不凍液としての性能が高いことで普及していますが毒性もあります。
適切に処理するはどのようにすればよいのでしょうか?
こちらのコラムでは、エチレングリコールの産業廃棄物処理について解説いたします。
目次
エチレングリコールとは?
エチレングリコールとは2価アルコールの一種で、消防法上ではアルコール類には含まれず、第4類危険物(第3石油類)に指定されている化学物質です。
吸湿性がある、水溶性、水より重い、引火点が低く引火の危険性は低いなどの特徴があります。
粘度のある無色の液体で、融点が低いという特徴から自動車の不凍液に多く使われ、他にも溶媒、保冷剤、ポリエステルの原料など合成原料などとしても使用されています。
危険性は?
エチレングリコールの毒性は生物によって差がありますが、人体への影響があり、急性的には中枢神経、腎機能や心肺系へ、慢性的にも中枢神経への影響が報告されています。
体内に取り込まれるとアルコール脱水素酵素の働きによって代謝され、グリコール酸やシュウ酸という物質に変化し、障害を引き起こすと言われています。
また、甘味があることから犬や猫が誤って舐めてしまうと動物にも同様に影響があります。
生態系や地球環境への影響もあるので取り扱いには注意が必要ですね。
廃棄物処理方法は?
産業廃棄物としてのエチレングリコールは「廃油」「廃アルカリ」に該当し、廃油類が混合している場合は「廃油と廃アルカリの混合物」(廃溶剤)として扱い、焼却処分か再生利用となります。
液体が入っていた容器も内容物を完全に除去したうえで清浄し、リサイクルするか適切な処分が必要です。
廃油(廃溶剤)のリサイクルとしては、廃油は蒸留再生後、再生燃料・副燃料・助燃料などに。
廃アルカリは中和剤を使用して肥料の原料や燃料調整剤などになります。
また、微生物剤を使用して分解し、処理後に放流という技術も進んでいます。
こちらも参考に御覧ください。
有機溶剤とはどんな産業廃棄物|丸商の産廃コラム|廃棄物処理・環境コンサルティングの株式会社丸商
毒性のある産業廃棄物は、人体にも地球環境にも影響を及ぼします。
安易に廃棄せず専門知識を持った処理業者へご依頼ください。