火薬や火を使わず水分との反応で煙が出るので、特殊撮影や特殊効果で煙を表現する際の演出などにも使われていた四塩化チタン。
塩化水素の白煙であることから刺激性があり、今では別のもので代用されるようになりました。
工業的には世界的に使用されている製造原料ですが、どのような特徴があるのでしょうか?
こちらのコラムでは、四塩化チタンの特性と廃棄処理する際の注意点について解説いたします。
目次
四塩化チタンとは?
四塩化チタンはチタンの塩化物で、無色または薄い黄色の液体です。
水と反応して酸化チタンと塩化水素を生じ、また空気中の水分とも反応して塩化水素の白煙が生じます。
チタン鉄鉱またはルチル鉱石をコークスと塩素と共に炉で熱してから蒸留精製して作られる化学物質です。
強力な溶剤で、多くの溶剤類と混交、反応します。
用途は酸化チタンや有機チタンの原料、ポリエチレン重合溶媒などです。
常温では鉄に対する腐食性はありませんが、200℃以上になると腐食性が高まるという特徴もあります。
危険性はあるの?
眼に入ったり皮膚に付いたりすると、発疹や痛み、熱傷などを引き起こします。
経口摂取すると、腹痛、虚脱感、灼熱感があります。
また吸入すると、咳や喉の痛み、息切れなどの症状が表れ、蒸気を吸入すると肺気腫を引き起こす可能性もあります。
水との反応性が強いので、希釈して使用すると大量の熱や白煙が発生します。
そのため、環境保全と公害を防ぐための排ガス処理設備が必要になります。
廃棄処理の方法は?
廃液や洗浄排水を河川等に排出したり埋め立てたりしてはいけません。
廃液自体も液体が入っていた容器なども産業廃棄物として処理業者に有害性や危険性を告知し、マニフェストを交付して処理を委託します。
その際は可能な限り無害化、安定化、中和などの処理を行い廃棄します。
水洗処理をして無害化する場合は、一気に水と融合させると発熱・発煙の反応が起きるため、多量の水に廃液を少しずつ加えて塩酸と酸化チタンに分解します。
分解後、アルカリ成分を加えて中和し沈殿物を濾過します。
沈殿物は埋め立て処分、濾過された液体は大量の水と共に排水処分します。
人体にも有害な化学物質は、廃棄の方法だけでなく、廃棄処理するまでの保管にも注意が必要です。
他の物質と化学反応を起こす可能性もあるので、専門の処理業者にご相談ください。