「ダイオキシン」と聞くだけで、多くの人が体に悪いというイメージを持つほどダイオキシンの毒性は広く認知されています。
もちろん発生を減らすための対策や措置も取られていますが、産業廃棄物にダイオキシン類が含まれている場合はどうすればよいのでしょうか?
こちらのコラムでは、ダイオキシン類の産業廃棄物の扱いについて解説いたします。
目次
ダイオキシン類とは?
ダイオキシン類は、様々な産業の場面で非意図的に副生成物として発生する有機塩素化合物です。
排出源は、廃棄物の焼却で大気中に、化学工場などの排水から水域へ、農薬散布などで土壌や水域へ放出されます。
農薬に使用されていたダイオキシン類は、現在は製造も使用も禁止されたものがあるので、発生源は焼却による割合が高くなっています。
ダイオキシン類は単体ではなく、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニルの総称です。
その中で200種類以上あり、うち毒性が認められているものは29種類です。
毒性と対策
ダイオキシンは自然環境では分解されにくく、土壌や水環境に長期間残留します。
脂溶性のため、食物連鎖で体内に入ると排出されたり分解されたりせず蓄積されていきます。
その毒性は非常に強く「人工物質として最も強い毒性を持つ物質」と言われています。
甲状腺機能低下、免疫機能低下、発がん促進、生殖や発育に支障をきたすなどの影響があります。
日常摂取量では急性毒性は生じませんが、平成11年に「ダイオキシン類対策特別措置法」が法律で定められ、環境汚染の防止・環境汚染の除去を図り国民の健康を保護する目的としています。
その中で、耐容一日摂取量(4pg/kg/日)と、環境基準(大気、水質、底質、土壌)の数値基準が定められています。
産業廃棄物の処理はどうする?
ダイオキシン類は、特別管理産業廃棄物の中の特定有害産業廃棄物にあたります。
特別管理産業廃棄物として指定されるものは、指定下水汚泥、ばいじん・燃えがら、汚泥、廃酸、廃アルカリなどで、廃棄物の媒体によって排出基準数値が設定されています。
ダイオキシン類濃度が3ng-TEQ/g以上を含む廃棄物は、特別産業廃棄物となるのでそのまま埋立処分はできません。
そのため中間処理をして3ng-TEQ/g以下に落とし、管理型での埋め立て処分となります。
また、ダイオキシン類は800°C以上の高温で分解するため、焼却炉の温度を適切に管理し、高温での焼却を行います。
適切な焼却、排ガス対策等が行われた施設で処理が行われます。
各都道府県では、ダイオキシンで汚染された土壌への措置なども取られていますが、発生させないためにゴミを減らす、リサイクルすることが重要です。
廃棄物を減らすことと適切な廃棄処理のために専門の処理業者にご相談ください。